【感想】海の上のピアニスト
mixiより転載 (記載日:2012年07月16日)
切なくも美しい映画でした。
映画に関する前知識として持っていたのは、
・評判が良いこと
・船の上で産まれて死ぬまでを船で過ごした男の話しであること
これだけ。
不要な先入観を持たず、
人の意見に惑わされず、
自分の感性一つだけ持って、
この素晴らしい映画を見れてよかった。
振り返ればコロコロと印象の変わった映画だった。
・冒頭の「誰もが彼女を振り返る」とナレーションするシーン。
ここでは洒落っ気のあるセンスの良い映画と感じた。
・子供時代のドロドロ真っ黒な幼少期のシーン。
正直この環境で育った主人公がロクな人間にならないと感じた。
・嵐の航海におけるピアノ演奏シーン
すごい映像と音楽。このシーン考えた奴は天才以外の何物でもないと、心打たれた。
美しい映像を魅せてくれる映画なのかなと思った。
・ウェットでユーモアたっぷりな話をしたり、周囲の人間の人生を即興で演奏にしたり、魅力的な青年に成長した主人公を魅せるシーン
主人公の天才性には、現実を超えて神秘性まで感じられる程であり、私はただただ感嘆するのみだった。
・ジャズを作った男とのピアノバトル(作中でもそう言ってたw)では、美しいメロディに癒されていたと思ったら、決着の時には興奮に包まれ、私の心は揉みくちゃにされたかのようだった。
波に揺られるように美しいメロディに身を任せる映画なのかと思わされた。
・レコードに録音する場面では、美しい女性とそれに惹かれる主人公の内面を奏でるメロディには、素敵なメロディに合わせた恋の結末を見せてる映画なのかと思った。
・主人公の不器用すぎる恋愛のアプローチには、この男性が船の中でしか生きてきていないことを思い出させた。
・主人公が船を降りようとするシーンで、この映画が船上で人生を送る男の映画であると理解した。
・暗闇の中、陸に降り立てなかった理由を独白するシーンでは、お前の人生はどうなのか?とメッセージを投げかけられたようだった。
映画に対する印象、イメージは二転三転四転五転した。
2時間強の映画だが、一人の男性の人生を味わったのだ。非常に長いこと見ていたような気がする。
思うことが1つある。
・廃船の中に現れた彼は生きていなかったであろう。
彼は戦争中に船の中で死んでしまったんだと思う。
でなくちゃ余りに辛すぎる。そうに違いないし、そう出会った欲しい。
稀に見る長文になったけど、そろそろオシマイにしようと思う。
素晴らしい映画に出会えたことに感謝をし、
また素敵な出会いがあることを願っています。