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【感想】アップサイドダウン 重力の恋人

mixiより転載 (記載日:2015年01月20日)

珍妙なラブストーリーでした。
印象の強い世界観でした。説明するのは面倒くさいけど、思った事を伝えるために渋々説明すると、


エヴァンゲリオン ジオフロント内部みたいな、見上げると天井から都市が生えており、地面側は北斗の拳ばりに荒れており、住民も上=都市、下=世紀末と分かれております。
上下の世界は衛星エレベーターのような施設でつながっており、下世界の中で優秀な人間は、物理的に上世界の近くで働く事が出来ます。
「物理的に」ということが、この映画の世界観のキーポイントです。

最高にシンプルに表現すると、



棒の部分は、衛星エレベーターのような施設
○の部分は、星です。

ツッコミたい気持ちが溢れそうになりますが、作中でも「大宇宙の神秘!!」と説明されたので、納得せざるをえません。


面白い点は、この世界は3つの原則に支配されているという事です。
1.物質はすべて、生まれた世界の重力に引き寄せられ、いかなる物質であっても逃れられない
2.上世界に存在する下世界生まれの物質を逆物質と呼ぶ。下世界に存在する上世界生まれの物質もまた逆物質と呼ぶ。
3.逆物質が接触している物質は数時間で燃える


この法則は、冒頭の導入シーンにおいて、「この物語を聞くにはまず、3つの法則を理解しなければならない・・・」という懇切丁寧な制作者からの説明を受けるのだが、
物語を見ていくうちに、法則のは破たんが到る処に現れてしまい、本来のラブストーリーを楽しむ余裕が奪われてしまいます。

いくつか気になるシーンを上げていきます。

1.逆物質カクテルを美味しくいただくシーン
見る分にはユニークな演出だ。カクテルグラスは上世界の物質、カクテル自体は下世界の物質(逆物質)である。
これは、逆さのカクテルグラスを口元に運び傾けることで飲む。見る分にはユニークだ。

ここで適応されるべき原則は、
>1.物質はすべて、生まれた世界の重力に引き寄せられ、いかなる物質であっても逃れられない
これだ。

これにそうなら、口に入れたカクテル(逆物質)は口元から口内を通り、咽頭へ流れ込むのではないか?
それと、このカクテルは高度数らしく、口に入れた瞬間盛大にむせたうえで、鼻からカクテルを噴出するのが正しい現象ではないだろうか?


2.ラブシーン
上世界の女性と下世界の男性のラブシーンについてだが、Dキス的なものをすると、互いに口内に逆物質を交換することになる。
そのシーンにおいて、男女がプカプカ浮いていたため、互いの体内に逆物質が入ったことは間違いないだろう。
(前述の鼻から噴出の法則が適応されていない理由は不明だが)

ここで適応されるべき原則は、
>3.逆物質が接触している物質は数時間で燃える

悲しい事に、愛し合う二人は数時間後には炎に包まれ、永遠の別れをつげることでエンディングを迎えるのが正しいのではないだろうか?


3.ラストシーン
このシーンでヒロインが、3つの法則を崩壊される衝撃発言を発します。
「妊娠したの!そのせいで性質が変わって、下世界で住めるようになったわ!!」

(゜Д゜)!!!
宇宙の法則が乱れた

根底が崩れるなんて、、斜め視点から映画を考察した俺がみじめだ!!


冒頭の導入シーンにおいて、この映画を作った人々から「これはラブロマンス映画だ!!細かい部分は気にするんじゃねぇ!!」という強いメッセージ性を受けたのですが、
見る方としては、このユニークな世界観をさんざん利用した演出をした上で、そんなこと言われても、全く腑に落ちません。


この映画は見て楽しませてもらったのではなく、見て考える事で楽しませてもらいました。
そういう意味では100点なんだけど、物語自体は60点。総合評価では間とって80点でしょう。